異称別名
真珠丸、真珠母丸
処方構成(この漢方方剤を構成する生薬の組み合わせ)
生薬名 | 原材料と加工法 |
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珍珠母ちんじゅも | 真珠を生成するウグイスガイ科アコヤガイ属のアコヤガイ・クロチョウガイ、イシガイ科のカラスガイ属カラスガイ・イケチョウガイ属ヒレイケチョウガイなどの真珠層 |
当帰とうき | セリ科シシウド属のカラトウキまたはニホントウキの根 |
熟地黄じゅくじおう | 乾燥させ酒で蒸したゴマノハグサ科アカヤジオウ属のジオウ・アカヤジオウ・カイケイジオウの塊根 |
人参にんじん | ウコギ科トチバニンジン属オタネニンジンの根 |
酸棗仁さんそうにん | クロウメモドキ科ナツメ属サネブトナツメの成熟種子 |
柏子仁はくしにん | 種皮を除いたヒノキ科コノテガシワ属コノテガシワの成熟種子 |
犀角さいかく | サイ科インドサイ属のインドサイおよびジャワサイ、あるいはスマトラサイ属スマトラサイ、クロサイ属クロサイなどの角 |
茯神ぶくしん | 松根周囲の外層を取り除いた内部が白色のサルノコシカケ科ウォルフィポリア属マツホドの菌核 |
沈香じんこう | 黒色樹脂を含むジンチョウゲ科ジンコウ属のジンコウおよびシナジンコウなどの木材 |
竜歯りゅうし | 現代のゾウ類・サイ類・ウシ類・ウマ類などに相当する新生代の有蹄類の歯牙の化石 |
朱砂しゅしゃ | 辰砂鉱石 |
蜂蜜ほうみつ | ミツバチ科ミツバチ属のトウヨウミツバチおよびセイヨウミツバチなどが集めた花の蜜 |
金銀花きんぎんか | スイカズラ科スイカズラ属のスイカズラおよび同属植物の花蕾 |
薄荷はっか | シソ科ハッカ属ハッカの葉および茎枝 |
適応疾患および対象症状
ふらつき、めまい、落ち着かない、動悸、イライラ、眼の充血、驚きやすい、浅眠、舌が紅い、舌苔が少ない
薬理作用
精神安定、目眩改善、動悸改善、止血作用、睡眠改善、舌色改善、舌苔改善
東洋医学的弁証(この方剤が対象とする、東洋医学の診断に基づく疾患および症状)
心陽偏亢(心の陽気が過剰になり動悸や不眠が生じる)、陰血不足(陰血が不足する)、心神不寧(心神が落ち着かない)、心悸目眩(動悸と目のくらみ)、肝陽偏亢(肝陽が過剰に盛ん)
治法・治療原則(この方剤が持つ、東洋医学的治療法と治療原則)
摂納浮陽(浮いた陽気を摂納する)、滋陰養血(陰を滋養し血を養う)、鎮心安神(心を鎮め神を安ず)
- 『方剤種別』については、複数の漢方方剤種別に属する方剤もあるが、当該方剤の薬理作用が最も顕著にあらわれる漢方方剤種別に基づき、単一の方剤種別に属させている。
- 『東洋医学的弁証』および『治法・治療原則』については、中医用語に精通していない一般の方を考慮し、あえて重複表現を一部用いている。
- 『適用疾患および対象症状』については、当該方剤が直接的に効力を示す疾患・症状に加え、間接的に効力を示す疾患・症状についても併記している。
- 『この方剤の持つ「薬理作用」』については、当該方剤の直接的な薬理作用に加え、間接的な薬理作用についても併記している。