異称別名および炮製品名
基原炮製(この生薬の原材料と加工法)
トチュウ科トチュウ属トチュウの樹皮
適応疾患および対象症状
腰痛、インポテンツ、頻尿、足腰のだるさ、手足の脱力感、不正性器出血、習慣性流産、妊娠中の性器出血、妊娠中の下腹部痛など
薬理作用
筋力向上、鎮痛作用、安胎作用、強精強壮、頻尿改善、止血作用、月経改善、尿漏改善など
東洋医学的弁証(この生薬が対象とする、東洋医学の診断に基づく疾患および症状)
腎陽不足(腎の陽気不足で冷えやむくみが生じる)、腰膝無力(腰と膝に力が入らない)、腰痛脚弱(腰痛と足の弱さ)、陽痿遺精(勃起不全と夢精)、尿頻余瀝(頻尿と尿の残り感)、肝腎不足(肝と腎の精気が不足した状態)、頻慣堕胎(習慣性流産)、胎動不安(胎動が激しく流産の危険がある)、崩漏胎漏(不正子宮出血と妊娠中の出血)
治法・治療原則(この生薬が持つ、東洋医学的治療法と治療原則)
補益肝腎(肝腎を補い益す)、強筋健骨(筋を強くし骨を健やかに)、固経安胎(経を固め胎を安ず)、補腎安胎(腎を補い胎児を安定)、温補肝腎(肝腎を温め補う)
帰属経絡(この生薬が主に治療効果を発揮する、経絡および臓腑)
肝、腎
この生薬を用いる「漢方方剤」
方剤名 | 出典(処方来源) |
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右帰飲うきいん | 《景岳全書》けいがくぜんしょ |
右帰丸うきがん | 《景岳全書》けいがくぜんしょ |
河車大造丸かしゃだいぞうがん | 《扶寿精方》ふじゅせいほう |
贊育丹さんいくたん | 《景岳全書》けいがくぜんしょ |
贊化血余丹さんかけつよたん | 《景岳全書》けいがくぜんしょ |
三痺湯さんぴとう | 《婦人大全良方》ふじんたいぜんりょうほう |
青娥丸せいががん | 《和剤局方》わざいきょくほう |
胎元飲たいげんいん | 《景岳全書》けいがくぜんしょ |
大造丸だいぞうがん | 《扶寿精方》ふじゅせいほう |
大防風湯だいぼうふうとう | 《和剤局方》わざいきょくほう |
天麻鈎藤飲てんまこうとういん | 《雑病証治新義》ざつびょうしょうちしんぎ |
独活寄生湯どっかつきせいとう | 《備急千金要方》びきゅうせんきんようほう |
補腎安胎飲ほじんあんたいいん | 《中医婦科治療学》ちゅういふかちりょうがく |
鹿角菟糸丸ろっかくとしがん | 《中医婦科治療学》ちゅういふかちりょうがく |
- 『生薬種別』については、複数の漢方生薬種別に属する生薬もあるが、当該生薬の薬理作用が最も顕著にあらわれる漢方生薬種別に基づき、単一の生薬種別に属させている。
- 『東洋医学的弁証』および『治法・治療原則』については、中医用語に精通していない一般の方を考慮し、あえて重複表現を一部用いている。
- 『適用疾患および対象症状』については、当該生薬が直接的に効力を示す疾患・症状に加え、間接的に効力を示す疾患・症状についても併記している。
- 『この生薬の持つ「薬理作用」』については、当該生薬の直接的な薬理作用に加え、間接的な薬理作用についても併記している。