知っておきたい 『漢方生薬』

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漢方生薬

川続断

よみかた
せんぞくだん
生薬種別
補陽薬
薬味薬性
苦、甘、辛微温

異称別名および炮製品名

基原炮製(この生薬の原材料と加工法)

マツムシソウ科ナベナ属トウナベナの根

適応疾患および対象症状

足腰のだるさ、手足の脱力感、脚の痛み、筋肉のこわばり、身体のしびれ、関節の痛み、運動障害、打撲、捻挫、骨折、切り傷、不正性器出血、妊娠中の性器出血、妊娠中の下腹部痛、皮膚化膿症など

薬理作用

鎮痛作用、筋力向上、創傷回復、安胎作用、硬直緩和、月経改善、止血作用、運動改善、消炎作用、血行改善、消腫作用、皮膚再生、感覚改善、止痙作用など

東洋医学的弁証(この生薬が対象とする、東洋医学の診断に基づく疾患および症状)

肝腎不足(肝と腎の精気が不足した状態)、腰膝無力(腰と膝に力が入らない)、腰痛脚弱(腰痛と足の弱さ)、崩漏胎漏(不正子宮出血と妊娠中の出血)、胎動不安(胎動が激しく流産の危険がある)、跌打損傷(打撲による外傷)、筋骨折傷(筋肉と骨の損傷)、風寒湿痺(風寒湿の邪気が関節に侵入し痛みやしびれを起こす)、拘攣麻木(筋肉の引きつりとしびれ)

治法・治療原則(この生薬が持つ、東洋医学的治療法と治療原則)

補益肝腎(肝腎を補い益す)、活絡止痛(経絡を活性化し痛みを止める)、通利血脈(血脈を通じ利する)、続筋接骨(筋を繋ぎ骨を接ぐ)、固経止崩(経絡を固め崩漏を止める)、固経安胎(経を固め胎を安ず)、活血止痛(血を活かし疼痛を止める)、強筋健骨(筋を強くし骨を健やかに)、消腫止痛(腫れを消し疼痛を止める)

帰属経絡(この生薬が主に治療効果を発揮する、経絡および臓腑)

肝、腎

この生薬を用いる「漢方方剤」

方剤名 出典(処方来源)
三痺湯さんぴとう《婦人大全良方》ふじんたいぜんりょうほう

この生薬を用いる「漢方方剤」(異称別名表記)

方剤名 出典(処方来源)
艾附暖宮丸がいぶだんきゅうがん《仁斉直指方論》じんさいじきしほうろん
寿胎丸じゅたいがん《医学衷中参西録》いがくちゅうちゅうさんせいろく
泰山盤石散たいざんばんじゃくさん《景岳全書》けいがくぜんしょ
補腎安胎飲ほじんあんたいいん《中医婦科治療学》ちゅういふかちりょうがく
  • 『生薬種別』については、複数の漢方生薬種別に属する生薬もあるが、当該生薬の薬理作用が最も顕著にあらわれる漢方生薬種別に基づき、単一の生薬種別に属させている。
  • 『東洋医学的弁証』および『治法・治療原則』については、中医用語に精通していない一般の方を考慮し、あえて重複表現を一部用いている。
  • 『適用疾患および対象症状』については、当該生薬が直接的に効力を示す疾患・症状に加え、間接的に効力を示す疾患・症状についても併記している。
  • 『この生薬の持つ「薬理作用」』については、当該生薬の直接的な薬理作用に加え、間接的な薬理作用についても併記している。