異称別名および炮製品名
基原炮製(この生薬の原材料と加工法)
イタボガキ科のイタボガキ属イタボガキおよびマガキ属マガキなどの左側の貝殻
適応疾患および対象症状
驚きやすい、焦燥感、不眠、多夢、動悸、落ち着かない、筋肉の引きつり、筋肉の痙攣、頭痛、耳鳴り、身体のしびれ、発汗、寝汗、遺精、滑精、不正性器出血、月経過多、おりもの、皮下結節、肝臓腫大、脾臓腫大、頸部リンパ節腫、胃痛、呑酸、慢性の下痢など
薬理作用
精神安定、睡眠改善、鎮痛作用、動悸改善、止汗作用、止痙作用、目眩改善、強精強壮、消腫作用、止血作用、帯下改善、尿漏改善、耳鳴改善、聴力改善、月経改善、止瀉作用など
東洋医学的弁証(この生薬が対象とする、東洋医学の診断に基づく疾患および症状)
心神不寧(心神が落ち着かない)、驚悸失眠(驚きやすく眠れない)、煩躁多夢(いらだちと夢が多い)、頭暈目眩(めまいと目のくらみ)、自汗盗汗(自汗と盗汗)、遺精遺尿(夢精と尿失禁)、崩漏帯下(不正出血とおりものの異常)、胃痛呑酸(胃の痛みと酸っぱい液体がこみ上げる症状)、瘰癧痰核(首や脇のリンパ節の腫れ)、肝脾腫大(肝臓と脾臓の腫大)
治法・治療原則(この生薬が持つ、東洋医学的治療法と治療原則)
鎮心安神(心を鎮め神を安ず)、安神定驚(精神を安定させ驚きを定める)、滋陰潜陽(陰を滋養し陽を潜める)、滋陰清熱(陰を滋養し熱を清める)、収斂固脱(収斂させ脱を固める)、軟堅散結(硬結を軟化させ散らす)、制酸止痛(酸を制し痛みを止める)、平肝潜陽(肝を平らげ陽を潜める)、益陰潜陽(陰を益し陽を潜める)、収斂固渋(収斂させ固渋させる)
帰属経絡(この生薬が主に治療効果を発揮する、経絡および臓腑)
肝、腎
この生薬を用いる「漢方方剤」(異称別名表記)
方剤名 | 出典(処方来源) |
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安中散あんちゅうさん | 《和剤局方》わざいきょくほう |
姜桂湯きょうけいとう | 《傷寒論》しょうかんろん |
桂枝加竜骨牡蛎湯けいしかりゅうこつぼれいとう | 《金匱要略方論》きんきようりゃくほうろん |
桂枝甘草竜骨牡蛎湯けいしかんぞうりゅうこつぼれいとう | 《傷寒論》しょうかんろん |
柴胡加竜骨牡蛎湯さいこかりゅうこつぼうれいとう | 《傷寒論》しょうかんろん |
柴胡姜桂湯さいこきょうけいとう | 《傷寒論》しょうかんろん |
柴胡桂姜湯さいこけいきょうとう | 《傷寒論》しょうかんろん |
柴胡桂枝乾姜湯さいこけいしかんきょうとう | 《傷寒論》しょうかんろん |
柴胡桂枝乾姜湯さいこけいしかんきょうとう | 《金匱要略方論》きんきようりゃくほうろん |
従竜湯じゅうりゅうとう | 《医学衷中参西録》いがくちゅうちゅうさんせいろく |
消瘰丸しょうるいがん | 《医学心悟》いがくしんご |
鹿角菟糸丸ろっかくとしがん | 《中医婦科治療学》ちゅういふかちりょうがく |
- 『生薬種別』については、複数の漢方生薬種別に属する生薬もあるが、当該生薬の薬理作用が最も顕著にあらわれる漢方生薬種別に基づき、単一の生薬種別に属させている。
- 『東洋医学的弁証』および『治法・治療原則』については、中医用語に精通していない一般の方を考慮し、あえて重複表現を一部用いている。
- 『適用疾患および対象症状』については、当該生薬が直接的に効力を示す疾患・症状に加え、間接的に効力を示す疾患・症状についても併記している。
- 『この生薬の持つ「薬理作用」』については、当該生薬の直接的な薬理作用に加え、間接的な薬理作用についても併記している。