知っておきたい 『漢方生薬』

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漢方生薬

麦芽

よみかた
ばくが
生薬種別
消食導滞薬
薬味薬性

異称別名および炮製品名

基原炮製(この生薬の原材料と加工法)

発芽させたイネ科オオムギ属オオムギの頴果(もみ)

適応疾患および対象症状

腹部膨満感、食欲不振、胸脇部の張り、ゲップ、乳汁分泌不全、乳房の張り、乳房の痛み、呑酸、消化不良、下痢など

薬理作用

消化促進、食欲増進、噯気改善、腹満改善、鎮痛作用、乳汁分泌、乳汁抑制、止瀉作用など

東洋医学的弁証(この生薬が対象とする、東洋医学の診断に基づく疾患および症状)

食積停滞(食べ過ぎによる消化不良)、脘悶腹脹(みぞおちのつかえ感と腹部の張り)、食少厭食(食欲が減退し食べ物を嫌う)、噫気呑酸(げっぷと酸っぱい液体が上がる)、肝気鬱滞(肝の気の流れが滞りイライラや胸苦しさが生じる)、胸脇脹痛(胸脇が脹り痛む)、乳汁鬱滞(乳汁が鬱滞する)、乳房脹痛(乳房が脹り痛む)、脾胃虚弱(脾胃の機能が全般的に弱った状態)

治法・治療原則(この生薬が持つ、東洋医学的治療法と治療原則)

消食化積(食滞を消し積聚を化す)、健脾開胃(脾を健やかにし胃を開く)、疏肝化滞(肝を疏通し停滞を転化)、疏肝解鬱(肝を疏発し鬱を解す)、和胃消食(胃を調和し消化を促進)、乳汁回乳(乳汁を通し回乳させる)、消食和中(食滞を消し中を和らげる)、疏肝理気(肝を疏発し気を理する)、行気消食(気を巡らせ消化を促進)

帰属経絡(この生薬が主に治療効果を発揮する、経絡および臓腑)

脾、胃

この生薬を用いる「漢方方剤」

方剤名 出典(処方来源)
一加減正気散いちかげんしょうきさん《温病条弁》おんびょうじょうべん
曲麦枳朮丸きょくばくきじゅつがん《医学正伝》いがくしょうでん
曲麦枳朮丸きょくばくきじゅつがん《内外傷弁惑論》ないがいしょうべんわくろん
健脾丸けんぴがん《証治準縄》しょうちじゅんじょう
楂麹六君子湯さきくりっくんしとう《古今名方》ここんめいほう
資生丸しせいがん《先醒斉医学広筆記》せんせいさいいがくこうひっき
資生丸しせいがん《蘭台軌範》らんだいきはん
資生丸しせいがん《劉河間医学六書》りゅうかかんいがくりくしょ
資生健脾丸しせいけんぴがん《蘭台軌範》らんだいきはん
半夏白朮天麻湯はんげびゃくじゅつてんまとう《脾胃論》ひいろん
半夏茯苓天麻湯はんげぶくりょうてんまとう《衛生宝鑑》えいせいほうかん
半朮天麻湯はんじゅつてんまとう《簡明医彀》かんめいいこう
肥児丸ひじがん《和剤局方》わざいきょくほう
保胎資生丸ほたいしせいがん《先醒斉医学広筆記》せんせいさいいがくこうひっき
保和丸ほわがん《医級宝鑑》いきゅうほうかん
  • 『生薬種別』については、複数の漢方生薬種別に属する生薬もあるが、当該生薬の薬理作用が最も顕著にあらわれる漢方生薬種別に基づき、単一の生薬種別に属させている。
  • 『東洋医学的弁証』および『治法・治療原則』については、中医用語に精通していない一般の方を考慮し、あえて重複表現を一部用いている。
  • 『適用疾患および対象症状』については、当該生薬が直接的に効力を示す疾患・症状に加え、間接的に効力を示す疾患・症状についても併記している。
  • 『この生薬の持つ「薬理作用」』については、当該生薬の直接的な薬理作用に加え、間接的な薬理作用についても併記している。